コミュニケーションをとっていても口頭のみでは相手に伝わらないこと、ありますよね?例えば痛み。血が出たり、擦り傷といった外傷の痛みは通ずるものの、おなかの痛みや心の痛みといった身体の中で起きていることは、どれほどなのかは他人には理解されづらいかもしれません。
こういった悩みを改善する一つとして注目されているのがVRです。実際にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
痛みをVRで再現
VRで「生理痛」を体験
「つらさをわかってほしい」。こういった女性の声を解決するために、甲南大学と奈良女子大学の研究チームは生理の症状を再現するVRシステムを開発しました。このシステムは生理の症状やそれに伴う不快感を、男性や症状の軽い女性に理解してもらうことで、生理に対するネガティブな認識を軽減し理解を広めることを目的としています。
このシステムでは腹直筋の下部に装着したパッドに電気を流すことによって月経痛を再現し、電気が流れると熱をもつ素子で太ももを温めることによって経血漏れを再現しています。実験ではこれらのシステムを満員電車を想定した環境で実演し、周りの環境によってさらに増す不快感を体感することができます。
このように、「この痛みが何日も続いている」と考えると、実際の生理に対しても寄り添うことができるのではないでしょうか。
認知症
また同じようにVRを使った事例としては「認知症」の体験があげられます。
VR認知症では複数ある認知症の症状をVRで体験することにより、認知症を”学ぶ”のではなく”体感する”ことができます。それにより、認知症の方が「なぜそのような言動をとるのか」「周りからこう言われたらどう思うのか」を擬似的に理解することができます。
この認知症VRを提供するサイトでは、以下のように説明されています。
認知症になると想いを表に出しづらくなり、代わりに起こす行動が“周囲には理解できないもの “と映ってしまうことが多くあります。表面的な行動は「徘徊」「帰宅願望」「入浴拒否」「暴力・暴言」などの様々な言葉で表され、” 認知症だから起こすもの” と思われがちです。
しかし、認知症がある方を取り巻く「問題」とされるものは、ご本人の問題ではなく、ご本人を取り巻く周囲の理解やコミュニケーションが大きく影響していることが多いということを、ご本人の視点を体験することで理解につなげることを目的としたプログラムです。
引用元:https://angleshift.jp/dementia/
患者さんの立場に立つことにより、今後どういった支え方をしていけばいいのかなど口頭のコミュニケーションでは伝わらなかったことを知ることができるでしょう。
まとめ
このようにVRはエンタメだけに留まらず痛みを表す自己表現のひとつにもなり、人々が支え合える社会の実現を手助けする役割も果たしてくれます。今後開発される技術とデバイスにも注目ですね。
それでは次の記事で!
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