「不老不死になってずっと生き続けていたい」そう思ったことはありますか?
今のところは残念ながら現実的に不可能ですが、自分が亡くなったあとでもデジタル空間で生き続けられるサービスがいま注目されています。今回はそのような「故人を記録するメタバース」の取り組みをご紹介します。
デジタル不老不死
Somnium Space社が開発する没入型VRプラットフォーム「Somnium Space VR」は、土地や建物を購入してデジタル上で暮らしを送ることができるメタバース空間です。同社のCEOであるArtur Sychov氏はこのメタバース空間上にユーザーの死後も生き続けることを可能にする新モード「Live Foreverモード」を実装しようとしています。
このモードは、VRを利用して個人の記憶や経験を保存するというアイデアに基づいています。このメタバース空間に滞在している間のユーザーの全身の動き、頭部の動作、目の動き、話し方や声などのデータを収集することによって、ユーザーの動きや表情をリアルタイムで記録し、アバターに再現することが可能です。この技術により、ユーザーが無くなる前の動きのデータを細かく収集しておけば、死後もVR空間でデジタルクローンとして「永遠に生き続ける」ことができるようになるかもしれません。
さらにこのユーザーとはメタバース上でコミュニケーションをとることも可能なのです。Artur Sychov氏は、このモードの目標として「不老不死のアバターと10分ほどの対話をしても相手にAIだと気づかれないようにすることだ」と述べています。このように彼は、不老不死という人類の長年の夢をメタバースで解決する新たな可能性を見出しています。
きっかけ
彼がこのモードを開発するに至ったのは、父親が進行性のがんに侵されているという診断がきっかけでした。
数年以内に死亡する可能性があると知った彼は、まだ幼い自分の子供たちが祖父の記憶を持たないまま大人になるかもしれないと考え心を痛めました。そのとき彼は「祖父がいなくなった後でも子供たちが祖父と会話できるようにする方法はないだろうか」と考え始め、このモードの開発に着手しました。
倫理的問題
一方で、この開発には倫理的な問題も付きまといます。このモードは選択制でユーザーの同意を基にデータの収集が行われますが、ユーザーの死後に意図していなかった発言や行動をする可能性も考えられます。またユーザーは自己の保存を希望していてもその親族はデジタルクローンを通して再会することに消極的だったらどうでしょうか。
このように、デジタルクローンは故人の存在感を感じ、会話をしたり最後の別れを聞いたりできる一方、結局はAIが生成したものに他ならないという倫理的な問題もはらんでいます。
まとめ
今回はメタバース上で不老不死になれるサービスについてまとめてみました。
みなさんは死後メタバース空間で生き続けたいと思いますか?
それでは次回の記事でお会いしましょう。
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